2020.11.19 15:54『十一月二十二日』著者:ののの「わかちゃんってさ、変わってるよね」「え?」 それは、わたしに審判が下された日。「こんなの書いててさ、なんか暗くない?」 小学三年生だったか四年生だったか。記憶は定かではないけれど、まだわたしがそれほど周囲を疑わず、純粋だったころだ。クラスの子から喧嘩を売られた。唐突に感じたけれど、きっと普段から煩わしかったのだろう。彼女の名前はもう覚えていないのでAとしよう。Aは、わたしと友だちが二人だけで楽しんでいた交換ノートを手に持っていた。教室の真ん中で、鬼の首をとったかのように誇らしげにノートをひらひらさせた。クラスの子たちに注目されて興奮でもしたのか、彼女はノートの内容を面白おかしく朗読した。「Bちゃんもこまってるって言ってたよ」 Bちゃんとは、わたしと一...
2019.12.31 02:12年末年始おすすめの過ごし方・ひとりブック商品作り 執筆者:ののの こんにちは! 皆さんは横暴編集長というボードゲームをご存知でしょうか? 横暴編集長とは、タイトルカード(上)とタイトルカード(下)を組み合わせて面白いタイトルを作っていくパーティゲームです。 先日これを応用したゲームをプレイしたのですが、非常に面白いものでした。皆でやると盛り上がります!! で、ですね。私は一人で遊ぶのが得意なので、一人でも楽しめるものはないかなーと考えて、思いつきました。 今回はその遊び方を伝授したいと思います! 一人遊びの名は『ひとりブック商品作り』 某商品サイトの商品紹介やレビューを自分で作ってみるという遊びです。 年末年始の過ごし方としていかがでしょうか? 実際に私がやってみましたので、ご覧下さい。 かなり楽しいですよ!!■一...
2019.07.31 10:54『夜の校舎で制服デート』著者:ののの◆Part1 愛と美しいと書いて愛美。 その名の通り、彼女はいつも可愛くて美しい。こんな僕と付き合ってくれたなんて今でも信じられない。僕らは確かに付き合っている。愛美ちゃんから告白されたのが半年前。それからの半年間、夢のような日々が続いている。 愛美ちゃんは本当に可愛い。何をしても可愛いのだけれど、それを直接言うのは恥ずかしい。いつも言おう言おうと思っている内に話題が次々と変わってしまうので、僕はいつも可愛いと言うタイミングを失ってしまう。 愛美ちゃんはおしゃべりな子だった。話題もころころと変わって、その度に表情もころころと変わる。楽しく笑っている時も、怒っている時も、常に可愛い。少し意地悪な事を言われることもあるけれど、僕はいつも許してしまう。可愛い...
2019.04.30 08:21『上書き保存』著者:ののの 四月だというのに年末みたいだな、と思いながら僕はテレビを観ていた。画面には北島三郎や松田聖子が映っていて紅白歌合戦の三十年間を振り返っている。平成について特に思い入れはないものだと思っていたのだけれど、歌で振り返ってみると案外色々と思い出が蘇ってきた。あの年にはあのアーティストが活躍していたな、とか、あんな事があったな、なんて振り返っていく。僕の人生と平成の三十年間はピッタリと重なっていて、まるで自分自身を振り返っているような気分になってきた。 平成が終わるという事は職場でもそれ以外の場所でも何かと耳にしていたし、昔話に花を咲かせる機会も多かった。その会話の中で一つ思い出した事がある。小学生の頃の話だ。 小学生の頃、僕は電車にほとんど乗る機会がなかっ...
2019.02.28 13:51『全力疾走』著者名:ののの 今日も上司に小言を言われた。わたしの勤務態度がお気に召さないらしい。 ――ボクはいつも1時間前に出勤してるんだけどね。君は良いねえ。ボクは有給休暇なんて一回も使った事がないよ。君は良いねえ。え、もう帰るの? 君は良いねえ。 えびす様のような顔つきと体型の上司は、優しそうな雰囲気に溢れている。笑う時はガハハと豪快でよく笑うから役員の方々からは非常に気に入られている。声を荒げて部下を叱責するような事もないし、よく話しかけてきてコミュニケーションも取っている。一見優しそうな人。でも、わたしは知っている。いつも目が笑っていない事に。元々細い目をしているからいつも笑っているように見えるのだけど、目の奥が全く光っていないのだ。物言いも別にこちらを責めているわけで...