2020.04.24 14:07【特別企画】リレー小説『読書会』この度、特別企画としてリレー小説を書きました。テーマは『読書会』。7名の参加者でリレーしました。※章の横は担当者の名前です。1(鋤名彦名) 私は今、ある高層マンションの下にいる。送られてきたDMに書かれた住所を入力したグーグルマップは確かにここを指している。あの人はこのマンションの最上階にいるらしい。じっと最上階の方を見上げていると首が疲れてきた。私はまだにわかには信じられずにいる。もう一度DMに書かれた文面を見た。「・・・つきましては我が家で拙著の読書会を開きます。ぜひご参加頂きたい。」 それは一週間前の事だった。「バベル」の名前で読書感想を主に呟いている私のTwitterアカウント宛にDMが届いた。送り主は小説家「犬神和音」からだった。「突然のダイ...
2020.01.29 10:41『同じ夢を見ていた』著者:サクライ目が覚めると、店で見かけて欲しかった緑色のかわいいワンピースに身を包まれて、会社の中にいた。高いから買えないなと諦めていたワンピース。なぜ着ている?しかも会社に。会社にワンピースなんて着ていったことはない。そんな服を着ても笑われるに決まっているから。いつも部屋の中で一人、こっそりと着るだけだ。すぐに夢を見ているのだと気づいた。お気に入りのワンピース。誰も、いない無音な会社。非日常な出来事に、わくわくする、なんだこれ、やりたい放題じゃないか。ひゃっほうー言いながらデスクを滑り台代わりに滑る。さすが夢。気持ちいいくらい滑っていく。課長の机、お局の机、嫌味な同僚の机。日頃の鬱憤を晴らすかのように滑って、滑って、机の上に置いてある物を全て、蹴散らしていく。気が...