2020.11.28 08:45相対化ツールとしての読書 執筆者:shikada最近になって、自分にとって読書が持つ意義について考える機会があった。現時点で考えていることを、記事にして残しておきたい。この文章で述べたいことは次の2つのことだ。1 本は、非同期型のコミュニケーションが行えるツールである2 非同期型のコミュニケーションを行うことで、自分が生きる世界を相対視できるようになるこの2つについて、順番に整理していきたい。①非同期型のコミュニケーション「同期」とは複数の意味を持つ言葉だが、この文章では「時間を一致させること」という意味で用いることにしたい。また「コミュニケーション」はさしあたって「思考や情報を伝える」という意味で使う。コミュニケーションは、この「同期」を行うものと、そうでないものの2種類に分けられる。同期を行うも...
2020.04.24 14:07【特別企画】リレー小説『読書会』この度、特別企画としてリレー小説を書きました。テーマは『読書会』。7名の参加者でリレーしました。※章の横は担当者の名前です。1(鋤名彦名) 私は今、ある高層マンションの下にいる。送られてきたDMに書かれた住所を入力したグーグルマップは確かにここを指している。あの人はこのマンションの最上階にいるらしい。じっと最上階の方を見上げていると首が疲れてきた。私はまだにわかには信じられずにいる。もう一度DMに書かれた文面を見た。「・・・つきましては我が家で拙著の読書会を開きます。ぜひご参加頂きたい。」 それは一週間前の事だった。「バベル」の名前で読書感想を主に呟いている私のTwitterアカウント宛にDMが届いた。送り主は小説家「犬神和音」からだった。「突然のダイ...
2020.03.21 12:05読書と初見殺し 執筆者:shikada人が本に求めるものはなんでしょうか。本を読む目的は、十人十色で、本のジャンルによっても、本を読む目的は違ってくるかと思います。私自身も、本を読む目的はさまざまです。小説を読むときは、他人の人生をのぞき見させてもらうことが目的ですし、雑学本を読むときは、知的好奇心を満たすことが目的です。目的うんぬんは考えずに、ただただ文体が好きだから読んでいる作家さんもいます。さて、世の中に多様な本があるなかで、私は、社会問題を扱ったノンフィクションを読むことがあります。そうした本を読む目的の一つに、自分自身に降りかかる不幸を回避するための知恵を得ること、があります。どういうことかと言うと、世の中には、何も知らない人、抵抗する力を持たない人を食い物にしようとする悪い大人...
2020.01.25 09:41電子書籍の現在地点 執筆者:shikada唐突ですが、読書家のみなさまは、電子書籍を利用されているでしょうか。Wikipediaによれば、電子書籍とは「主にインターネット上で流通する電磁的に記録された読み物の総称」であるとされています。要するに、電子書籍とは紙ではなく、PCやスマホ、タブレットなどの画面上で読むことができる本です。電子書籍サービスの種類は多様ですが、代表的な例としては、Amazonの運営するKindleなどが挙げられます。私は最近、わりかし電子書籍を読むようになりました。スマホひとつで、数十冊の本を持ち運べるのは便利だなぁと思いながら利用しています。いっぽうで、電子書籍の不便なところもたくさんあります。紙の本と比べて、ここは便利、ここは不便、などと、つい比べながら読んでいます。...
2019.12.07 11:37「タンノイのエジンバラ」から考える大人像 執筆者:shikada読書会で教わった、長嶋有「タンノイのエジンバラ」という短編集を読んで、考えたことを書きます。あらかじめお断りしておくと、「タンノイのエジンバラ」の本筋とはほとんど関係のない内容です。