2019.05.06 05:00『春』著者:S 友人の音が亡くなり三度目の春が過ぎる。 某スポーツ企業のマーケティング部で多忙な毎日を送っていた彼女は残業を終えた金曜、ご主人と暮らすマンションに戻り、早々と寝室に行きそして土曜の朝になっても二度と目を覚ます事はなかった。お酒が強くて麻雀が上手でお寿司が好物、名前は可愛いけど中身はおっさんだなと仲間内でからかわれていたのが音だった。亡くなった、とご家族から突然連絡が来た時もとても信じられなかった。だって音はまだ若く、どこも悪くない。音が死んだ?あの音が。音から職場の上司だという十五歳上のご主人と結婚すると紹介された日を思い出す。画家のアンディ・ウォーホルに似ていると言うその人は物静かで私は殆ど話をした事がない。まあ芸術家っぽいね、共通点眼鏡かけてるく...