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2021.12

2021.12.31 03:05
『薔薇の下で』著者:鋤名彦名
 埋もれた記憶の中から蘇ってきたその若々しい肉体を、わたしは今から愛でようと思う。その若々しい肉体とわたしの交わりをこの場で公にするが、これが記憶の中にあった断片を繋ぎ合わせたものであるか、それともわたしの筆による空想の産物なのか、それはあなた方の思うままに任せよう。わたしはただ、その肉体との交わりが、わたしの愛であるのか、それとも否であるか、問いたいのである。 記憶の底から蘇ったその若々しい肉体の名はミズキと言い、わたしから四つ離れた血の繋がった弟である。なぜ今わたしの記憶の中からミズキの肉体が蘇り、瞼の裏のスクリーンに映し出されているのか、それは自分でも分からない。スクリーンには十二、三の年頃にミズキの裸体が映っている。ここから少し情景をはっきりさ...

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