2020.09.25 09:15『ストレイキャット』執筆者:鋤名彦名 「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」とはよく言ったものである。 稀有な体験をすると、誰かに伝えたくなるのはなぜだろう。 そこには幸不幸を問わず、存分に「自慢」という要素が入ってくることもある。宝くじが当たったとか、逆にこんな辛い目に会ったとか。昔はオレも悪かったみたいなワル自慢もあるし、笑えるようなことだったらいわゆるすべらない話にもなるだろう(それには話者の技術が必要ではあるが)。 ここにこうして文章を書こうと思ったのも、先日わたしがある稀有な体験をしたからだが、別にあえて公にするようなことでもないのは確かである。わたしの心の中にひっそりとしまい込んでおけばいいだけだ。 しかしその体験をしたあと、わたしはどうにかして誰かに伝えたいと思った。...
2020.09.18 13:56『ダストバニー・イン・マイ・ヘッド(序章)』著者:へっけ 【序章】 俺は、八歳の時に初めてジブリ映画を観て「正直言ってあんまり面白くはないな」なんて呟いた。 初めて見た作品というのは、一九八八年に公開された「となりのトトロ」。 サツキとメイの姉妹が、お母さんの病気療養のためにお父さんと一緒に緑豊かな田舎に引っ越すところから物語は始まる。 新しい家には、小さなお化けが住んでいて、これじゃまるで「お化け屋敷」だと新生活に不安を感じるサツキとメイ。 森の奥には、巨大なお化け?生き物?の「トトロ」も住んでいて、八歳の俺は「何この生き物!何処の森に住んでるんだろう!飼いたい!!」とママに言って困らせてしまう。あの時はごめんねママ。 ストーリーの大筋は特に不満を感じることはなかったのだけれど、サツキとメイの家に住む毛...